この記事でわかること
- 「資格・認定を持つ会社」と「持たない会社」でAUTOSAR開発の何が変わるか
- CEEP(Vector Certified Embedded Engineering Partner)認定が外注先選びの指標になる理由
- 委託候補先にそのまま使えるチェックリスト
「AUTOSARに対応できます」では判断できない理由
委託先が増えた分だけ、実力の見極めが難しくなっています。
自動車等のECU開発でAUTOSAR準拠のBSW(Basic Software)を採用する際、多くの開発担当者が直面する壁が「委託先の実力をいかに見極めるか」という問題です。
AUTOSARは2003年に発足した車載ソフトウェアの国際標準仕様であり、新規ECU開発では採用が半ば前提となっています。
それだけに「AUTOSARに対応できます」と名乗る開発会社は年々増えています。
しかし、BSW(Basic Software)の設定やRTE(Runtime Environment)の構成を正しく扱えるエンジニアは、まだ業界全体で不足しているのが現実です。
「思ったより進まない」「設定の意味を理解していなかった」「仕様変更への対応が遅い」
――こうしたトラブルが起きやすい構造にある中で、委託先を見極める客観的な基準として機能するのが、後述する「資格・認定」の有無です。
発注前に知っておくべきAUTOSARの基本
AUTOSARとは
AUTOSARとは「AUTomotive Open System ARchitecture」の略称で、自動車メーカーやサプライヤーが参画するグローバルな開発パートナーシップが策定した、車載ソフトウェアの共通アーキテクチャです。
AUTOSARを導入することで、以下のようなメリットが生まれます。
- 再利用性の向上: マイコンの種類が変わっても、機能ロジック(アプリ)を書き直さずに移植できる。
- 分業と標準化: 各社がバラバラで作っていた土台(通信・制御の基本機能)を共通化し、アプリ開発に集中できる。
- コスト・開発期間の削減: ソフトウェアの品質を保ちつつ、開発スピードを上げられる。
外注先を絞り込む最重要指標:CEEP取得の有無
個人の資格より、会社単位の認定が「確実な在籍」を証明します。
エンジニア個人の資格:CEA・CEP
AUTOSARの実装に広く使われるVector社(ドイツVector Informatik GmbH)のAUTOSARに準拠したBSW製品であるMICROSARに対しては、エンジニア認定プログラムがあります。
| 資格 | レベル | 証明できること |
|---|---|---|
| CEA(Certified Embedded Associate) | ベーシック | BSWコンフィグレーション・RTEの基本設定 |
| CEP(Certified Embedded Professional) | プロフェッショナル |
2年以上の実務経験、ゼロベースでのClassicプロジェクト構成、 複雑なコンフィグ問題の自力解決 |
会社単位の認定:CEEP(委託先選びの最重要指標)
CEEPはVector社が企業に与える公式認定で、MICROSARなどのVector社製ツールを高度に活用できる技術力・信頼性を備えた会社に与えられます。
取得の必須要件にCEP保有エンジニアの在籍が含まれるため、CEEP取得企業は「専門家が確実に在籍している」ことが外部から客観的に確認できます。
PCIソリューションズのCEEP取得について
PCIソリューションズ株式会社は、2026年1月に日本法人として4社目となるCEEP認定を取得しました。
日本国内でCEEPを取得している企業は2026年1月時点でわずか4社です。
CEEP取得企業に委託すると現場で何が変わるか
資格・認定は「試験に受かった」という事実ではなく、開発の質と速度に直結します。
設定ミスと手戻りのリスクが下がる
BSW設定はパラメータが膨大で、一箇所のミスが想定外の動作を引き起こします。
体系的な知識と実務経験を持つエンジニアがいるチームは仕様の読み違いが起きにくく、手戻りが減ります。
仕様変更への対応が速い
AUTOSARアーキテクチャを層ごとに理解しているエンジニアは、変更の影響範囲を素早く正確に判断できます。認定を経たチームはこの判断の速さと正確さが違います。
サプライヤー間の技術調整がスムーズになる
ARXMLのやり取り・インターフェース仕様の合意・コンフィグ整合確認など、マルチサプライヤー間の技術調整は担当者の知識レベルに依存します。
Vector社との直接的な技術連携が受けられる
CEEP認定企業はVector社から技術情報への優先アクセスや専門家との連携機会を得られます。非認定企業との対応力の差が最先端の課題ほど大きくなります。
委託候補先にそのまま使えるチェックリスト
以下の質問を投げかけて、具体的な数字と事実で答えられるかを確認してください。
- CEEP(Vector Certified Embedded Engineering Partner)を取得していますか?
- 主にどのツールチェーン(例:Vector DaVinci Developer / Configurator)の実務経験がどのくらいありますか?
- BSWのコンフィギュレーション(OS、Com、CAN、Ether、Mem、DIAG、MCALなど)の担当経験はありますか?
- 機能安全(ISO26262)やサイバーセキュリティ(ISO/SAE 21434)に対応したBSWの設計・評価の実績はありますか?
- Automotive SPICE(ASPICE)に準拠した開発プロセスでの実務経験はどのくらいありますか?
曖昧な回答が続く場合は、外注リスクが高いと判断してよいでしょう。
まとめ:AUTOSAR開発の委託先は「証明できる会社」を選ぶ
「できます」と「証明できます」の間には、大きな差があります。
| 確認すべき3点 | なぜ重要か |
|---|---|
| ① CEEP取得の有無 | 日本法人でわずか4社(※1)。会社単位での技術力を示す最も客観的な証明 |
| ② CEP保有エンジニアの人数 | 複雑なコンフィグを自力解決できるプロが何名いるか |
| ③ AUTOSAR準拠のBSWの開発に携わったエンジニアの人数 | 複雑なBSWの理解及びツールを使いこなせる体制が組めるか |
PCIソリューションズは日本法人4社目(※1)のCEEP認定取得企業として、AUTOSAR開発の上流から量産まで一貫して支援しています。
委託先の選定段階でのご相談、要件のヒアリングだけでも構いません。
まずはお気軽にご連絡ください。
(※1)2026年1月時点
